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Liber_7

Liber_7 Fragments




 この企画はLass7thStyle『Liber_7 -永劫の終わりを待つ君へ-』の一部(SideStory)として、世界を断片的に語りつつも、本編とは "まったく別" の語り口で展開していきます。 当企画はtwitterアカウント @lass_official で連載していきますが、関連ツイートにはハッシュタグ『#Liber_7_Fragments』をつけますので、まとめて読むときなどに、ご利用ください。 また『Liber_7 Fragments』は、関連ツイートに対して、RTをしたり、物語の展開に対してのアンケートに答えることで、展開が変化します。皆様も "参加" してみてください。
では改めまして、これよりユーザー参加型twitter連載SS企画『Liber_7 Fragments』をはじめます。

Liber_7 Fragments
 すべての可能な文字列の中に、すべての物語は存在する。
 かつて書かれた物語も、これから生まれ来る物語も。
 無限の文字列には至高の物語が内包されているはずだが、その物語が偶然生み出されるのを待つには、この宇宙の寿命ですら短すぎる。

 だから、この物語は、貴方に向けて語りかける。
 誰かのために語られることで、無限から有限の可能性に収束し、その文字列ははじめて意味を持つのだ。
 そう、貴方の心に読み取られるとき、その文字列は「物語」として動き始める。 

 そして、ここからはじまる物語は、貴方の心と繋がり、響き合う物語。
 貴方がつぶやき語る言葉(RT/ハッシュタグ)に影響を受け、貴方の選択した思い(アンケート結果)に応じて、紡がれる物語は変わっていく。
 私も、貴方も、「物語」の一部になる。そして、この物語の行き先を、今は誰も知らない。

 ここで語られるのは『Liber_7』という物語の断片(Fragments)。
 それは『Liber_7』の部分であり、『Liber_7』の中では語り得ない物語であり、『Liber_7』の世界を別の視点で見つめる目でもある。
 『Liber_7』という物語の全貌が明らかになるまでの間、その断片に触れ、ともに物語の行く末を見守っていただきたい。

Fragment;01『Scar』


Fragment;02『ツィベリアダの異常な日常』
マイワイフ奈々子 / セントヘレナ島のブルボン種 / コーヒー豆とミル /
考現学部のその後 / 現役虹校生


Fragment;03『転校生「広原萌生」の噂』




 

Fragment;02『ツィベリアダの異常な日常』

 「良いコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、まるで恋のように甘い」
 
 と言ったのは、フランスの政治家タレーランだ。
 コーヒー愛好家が好んで使うフレーズだが、今時の良いコーヒーはそれに限ったものではないと、私は思う。今やコーヒーは多様性に満ちているのだから。
 このフレーズより個人的に好きなのは、バッハが作曲した『コーヒー・カンタータ』の一節で、コーヒー狂いの娘さんが口にする言葉だ。
 
 「あぁ、コーヒーの味の何と甘いこと! 千のキスよりまだ甘く、マスカット酒よりもっと柔らかい。コーヒー! コーヒー! コーヒーなしじゃやっていけない! 私を何とかしようと思ったら、コーヒーをくれるだけでOKよ」
 
 何と情熱的にコーヒーへの愛を表した言葉だろうか! 特に「私を何とか~」の下りがいい。むふー。
 ん? 私は誰だって? これは失礼!
 私は新綾女商店街の片隅で喫茶店『ツィベリアダ』を営んでいる、黒田隆弘と申します。以お見知り置きを――。
 喫茶店を開くほどにはコーヒーを愛しているが、だがしかし! この世で一番愛しているのは、マイ・ワイフであると言わざるを得ないがね!
 さてお客さん。私たち夫婦が開いた喫茶店『ツィベリアダ』の話と、マイワイフ「奈々子」の話、どちらが聞きたいかね?  

 ほう! お客さんも私とマイワイフの馴れ初めを知りたいと!
 奈々子の話だけをしろって? そうは問屋が卸さんよ、はっはっはっ!
 
 何を隠そう、この私、30代後半ぐらいまでバックパッカーとして世界を旅していたんだ。そんな歳まで定職にも就かず、ぷらぷらしていたわけで、まぁ、あまり褒められたものではないな。
 子どもの頃から「出会うべき誰か」を探し出して、「その人を幸せにしないといけない」という、強迫観念に近い思いがあって、今にしてみると、放浪癖はそれが原因だったように思う。
 
 まぁ、そんな彷徨えるイタい中年だった私は、日本国内でも色々な場所を旅していたわけだが、偶然立ち寄った初音市で運命的な出会いを果たした。
 コーヒーチェーンであるカフェ『ソラリス』でアルバイトをしていたのが、のちにマイワイフとなる奈々子だったのだ!
 

 一目見て、恋に落ちた――。
 
 俺が探し求めていたのはこの人だ! と思ったものの、当時、奈々子は高校生。放浪の中年が求婚するのは、あまりにも歳が離れていた……。
 とりあえず溢れ出す恋心は横に置いて、まずは怪しまれずに仲良くなることを心がけた。
 奈々子と話をしてみると、将来喫茶店を開くのが夢で、修行がてらアルバイトをしているらしい。
 私は世界中を放浪してきたこともあって各地でコーヒーを飲んでいたのだが、それほど思い入れが強い方ではなかった。だが、奈々子の気を引こうと、あらん限りのコーヒー知識を総動員。  奈々子からは「コーヒーに詳しい黒田さん」というイメージで捉えられるようになった。それからは中身を追いつかせるために、必死でコーヒーの勉強をはじめたよ。
 最初は奈々子の気を引くために勉強しはじめたコーヒーの知識だったが、全世界で愛飲されている飲み物だけあって、奥行きが深い。いつしか私自身も本当にコーヒーの世界にハマっていったのさ。
 そんな私が奈々子にどうしてもプレゼントしたくて、現地に旅して手に入れたのが――セントヘレナ島のブルボン種というコーヒー豆だ。

 セントヘレナ島と聞いてピンと来ているお客さんは歴史好きだね?  こう見えても私は歴史好きの側面もあってね、世界を放浪しているときには、様々な遺跡に……え、脱線するなって?
 セントヘレナ島というのは、かの「ナポレオン・ボナパルト」が退位した後に、幽閉されたことで有名な大西洋にある絶海の孤島。
 その島で栽培されているブルボン種という品種のコーヒー豆は、18世紀にイエメンから広がったものなんだが、絶海の孤島という地理条件のお陰で、極めて原種に近い状態で残されているんだ。  品種改良だったり、他の品種との交雑によって、世界中のブルボン種の個性は変質していってしまったわけだが、この島のコーヒーは300年近く前の原種に極めて近い状態が今でも守られているということ。  そんな「幻のコーヒー」と言われているセントヘレナ島のブルボン種を、私の放浪の締めくくりとして、現地に出向いて手に入れることにしたんだ。

 日本から空路で香港、ヨハネスブルグを経由して、ケープタウンへ。  ケープタウンから出港している郵便船で6日かけてセントヘレナ島へ。流刑地だけあって、まさに言葉通りの絶海の孤島だった。
 
 赤茶け岩肌が剥き出しになった、切り立った断崖に囲まれた荒涼たる島「セントヘレナ」。
 島の中心である町ですら、深い渓谷の底にひしめくように作られているような過酷な土地だった。そんな島の農園でコーヒーを飲んだ瞬間、私の運命が決まった。
 気品のある薫り、雑味がなくフルーティな香味と甘さ、いつまでも続くような美しい余韻。
 正直、奈々子の気を引くために希少価値の高いコーヒーを手に入れようとしていたわけだが、このとき、コーヒーに一生を捧げることになると確信した。
 
 そんなコーヒー豆を、現地で交渉し日本へと空輸した私は、帰国後早速、奈々子に会うためにカフェ『ソラリス』へ向かった。だが、そこに奈々子はいなかった……。

 慌てて『ソラリス』の店長さんに話を聞いてみると、奈々子は学園の卒業に合わせて、ここでのバイトを辞めたということだった……。
 私は途方に暮れた……。でも、考えてみれば、私一人が舞い上がっていただけに過ぎない。自分には「運命の人」だという確信はあったけど、現実的には年の差がありすぎだよな……。
 絶望に打ちひしがれた俺だったが、ここで奈々子の行方を捜し回るわけにもいかない。
 そこで俺は『ソラリス』の店長に頼んで、カフェのバイトをさせてもらうことにした。若い女の子が辞めて代わりが私では、店長はいい顔はしなかったけどね。
 
 セントヘレナ島でブルボン種のコーヒーを飲んで、感銘を受けた俺は、もっとコーヒーについて詳しくなりたくなっていた。  将来的には喫茶店のマスターってのもいいかもしれない。そうして、俺は傷心を抱えつつ、『ソラリス』で働きはじめた。
 
 新しい人生を生きようとして、バイトをはじめて一週間後――。
 なんと、『ソラリス』のドアを開いたのは、二度と会えないと思っていた奈々子だったんだ!
 まさか一生会えないと思っていた相手に、一週間で会えるなんて!
 奈々子は友人との卒業旅行にドイツに出かけていて、折角なので長年お世話になった『ソラリス』のマスターにドイツ土産を持ってきたのだった。
 俺が新しいバイトになっていることに驚いていたが「あの……その……黒田さんにもお土産があるんです」と言って、あるものを渡してくれた。『ソラリス』に通い詰めていたとはいえ、ただの客だった私に……?

 奈々子が俺にプレゼントしてくれたのは、ザッセンハウスのコーヒーミル『154MA』
 ミルというのは焙煎した豆を挽く機械のことで、小ぶりだがドイツ製らしくしっかりした作りのものだった。
 俺も慌てて、自分が手に入れたブルボン種を手渡す。奈々子がいないと知って、どう扱っていいかわからなくなっていたので、心の整理がつくまで『ソラリス』の倉庫に保管させてもらっていたのだ。
 渡したものが、セントヘレナ島のブルボン種だと知ると、奈々子は「あの……こんな貴重なものを……私のために……?」と感動で涙を流して喜んでくれた。
 コーヒーの知識は私以上の奈々子は、それを手に入れる苦労を自分以上に察してくれたのだ。
 
 涙に濡れた奈々子がじっと私の顔を見る。「あの……その……」と何を言いかけてもじもじしているが、私は一世一代の告白のタイミングだと思って意を決していた。
 私は奈々子より先に、愛の気持ちを口にした。
 
 「奈々子さん、私は貴女のことが好きです。結婚を前提に、付き合ってくださいませんか?」とストレートな言葉を投げかけた。
 
 俺は「この言葉を貴女以外には、一生言うつもりはありません」と続けようと思ったが、重くなりすぎるのでやめた。
 突然の告白だし、明らかに歳が離れているから、奈々子にも考える時間が必要だろうと思ったが、「はい……。喜んで」と奈々子は即答した。
 何と、私が言い出さなければ、奈々子も勇気を振り絞って、私に告白をしようとしていたというのだ!
 
 『ソラリス』の店長や常連客が、一連のやりとりを目撃していて「本当にいいの?」と奈々子を問い質してくれたが、奈々子は照れた笑顔でうなずいてくれた。
 その日、私が手に入れたセントヘレナ島のブルボン種を、『ソラリス』の店長に焙煎してもらい、奈々子がドイツ旅行で持ち帰ったコーヒーミルで挽き、みんなで飲んだ。
 あれは人生で最高の一杯だったね。

 その後は、奈々子が大学に進学している間に、私はコーヒーを勉強するのと、お金を貯めるのとに専念して、やっと、この綾女ヶ丘に小さいながらも2人の理想の詰まった喫茶店を開くことができたってわけさ。
 店を持つ資金繰りがついたとき、私は改めて奈々子に「奈々子、私と結婚してください」とプロポーズした。そのときは「この言葉を貴女以外には、一生言うつもりはありません」と、告白の時には言わなかった言葉を添えてね。
 というわけで、これがマイワイフの馴れ初めと、『ツィベリアダ』開店までの経緯、というわけさ。紆余曲折が意外に少ないって? それは私が端折っているからだ! 年の差婚は想像以上に大変なんだぞ?
 私やマイワイフのこだわりを理解してくれる常連さんも多くてね、そこそこ経営は安定しているよ。ん? どんなお客さんがいるかって?

 そうだね、私がよく憶えているのは、虹校の「考現学部」の子たちかな。
 虹校というのは、この新綾女と川を挟んで反対の綾女ヶ丘地域にある『虹陵館学園』のことでね。新綾女の子たちも多く通っているので、放課後に立ち寄ってくれるグループも多いんだ。
 学生が喫茶店のたむろっているのは、あんまり良くはないのかな、と思ってしまうのは私がオッサンだからかもしれないが、学園の先生が数人、この店の常連だったお陰もあって、今でもその辺は問題視されてはいないね。
 この店でバイトをしていた皐月駆くんや広原雪子くんの友だちが入ってた『考現学部』という部活で、そのメンバーがこの店によく集まっていたね。
 考現学という学問を真面目に研究しているというよりは、大学のサークルのような印象だったけど。
 
 『考現学部』のメンバーたちは、学園を卒業しても、ときどき店に来てくれるので嬉しいねぇ。
 一番良くくるのは、新綾女でバイク屋に就職した田島賢久くんかな。彼は大食漢で、コーヒーよりはご飯ものを何人前も注文して、店に貢献してくれているよ。
 ここでバイトをしていた駆くんはそういえば、卒業後に『考現学部』の子と結婚したから、案外、ここがきっかけだったのかもしれない。
 その相手は、草壁美鈴ちゃんという子だ。
 
 美鈴ちゃんはそれは綺麗な女の子で、綾女ヶ丘市と初音市のちょうど中間ぐらいにある草壁町の旧家のお嬢さんなんだ。
 しかも、間宮家とも繋がりがあるっていうから、駆くんは逆玉って言っても過言ではないね。
   由緒正しい家柄を守るためか、当主の一人娘に駆くんは婿入りしたので、今の名前は草壁駆だね。何の仕事をしているのかはよく知らないんだが、夫婦揃って日本各地を忙しく飛び回っているようだよ。
 それでも近くに来たときにはふたりで顔を出してくれるし、最低でも年に1回は『考現学部』のメンバーでこの店に集まって、同窓会的な席を設けているよ。この店が、人を繋ぐ役に立っていると感じられて嬉しいよ。

 そういえば、来年には子どもを連れてこれると思いますと駆くんが言っていたので、楽しみにしているんだ。
 ちなみに私にも子どもは2人いるんだ。長女の遥奈6歳と長男の弘文3歳。最近、奈々子が店に出る機会が少ないのは育児の影響が大きい。
 店の常連だった学生たちが、恋をして、結婚をして、家族を作り、そしてまたこの店に来てくれる。それを見守ることが出来るのは、最高に幸せだと思うよ。
 だから、この店に関わり合うすべての人のためにも、長く続けていきたいと思っている。
 
 駆くんからの手紙で知った内容しか知らないけれど、お子さんは女の子だったようだよ。
 名前は美柚(みゆ)ちゃんというらしい。
 美鈴ちゃんのご実家には、立派な柚子の木が生えていて、そのうちの一本は綾女ヶ丘の別荘にも植樹されているらしいけど、何でも柚子は草壁の家にとっては特別なものなのだそうだ。
 その柚子の「柚」と、母親である美鈴ちゃんの「美」をとって、『美柚(みゆ)ちゃん』と決まったらしい。ふたりは男の子も欲しいと書いていたから、ウチみたいに一姫二太郎になると良いね。
 美鈴ちゃんと駆くんは仕事で全国を飛び回っていたみたいだけど、子どもが出来てからは美鈴ちゃんは里に戻り、出産と子育てに専念して、駆くんがひとりで仕事をしていたみたいだね。
 状況が落ち着いたら、子どもも連れて来てくれるというから、ウチの子たちふたりも連れてきて、会わせてあげたいね。まぁ、駆くんちの子はまだ赤ん坊だから、遊ぶわけにはいかないだろうけど。
 

 考現学部の他の面々についてはどうなのかって?
 今でもウチの店に良く来てくれるのは、前にも言った田島賢久くんかな。彼はここでバイトもしていた雪子ちゃんと付き合ったいるっぽいね。
 本人たちは「付き合っている」とは言ってないけど、おじさん、そういう空気には敏感なのでね、そうなんじゃないかな、というのは雰囲気でわかってしまうんだ。
 雪子ちゃんは学園を卒業してからは、東京の神保町にいる叔母さんのところに就職したので、付き合っているとしたら遠距離恋愛なんだろうけどね。雪子ちゃんの仕事? 探偵の助手だって聞いているよ。
 雪子ちゃんと賢久くんは、周りから見ていても馬が合っている印象だったけど、駆くんと美鈴ちゃんが結婚したあたりから、お互いに意識しているように思うね。
 雪子ちゃんは東京在住みたいだけど、仕事で飛び回っていて、近くに来るとこの店に寄ってくれているから、賢久くんとはそれなりに会う機会は多いみたいだよ。
 
 そういえば、そんな考現学部の面々みたいに、この店に良く来て、いろいろな活動をしている現役の虹校生たちがいるんだ。
 特に部活として集まっているわけではなさそうだけど。彼らを見ていると、考現学部の面々を思い出すよ。
 その現役の虹校生グループの話だと――。

 話の途中で中座してしまってすまないね。
 スイーツを大量に頼みまくるお客さんが来ていて、大わらわだったんだよ。
 で、何の話だったかな? そうそう、良く来ている虹校生の話だったね。
 ウチに出入りしている虹校生のグループに、とってもクールな黒髪の女の子で、『楠瀬沙綾』ちゃんっていう子がいるんだけど……。
 その子が仲間うちにこの『ツィベリアダ』を紹介してから、みんなでこの店に来るようになったんだよ。
 
 ウチの店はコーヒーはもちろんだけど、紅茶にも結構こだわっていてね。
 沙綾ちゃんはそこが気に入ったみたいなんだよ。あんまり宣伝していないこだわりを、お客様に理解されるのはとっても嬉しいね。
 それと、この店には私やマイワイフが読み終わった本を、奥の本棚に置いてあって自由に読んでいいってことにしてあるんだ。
 沙綾ちゃんはそこが気に入ったみたいだよ。あの子は、かなりの読書好きだね。
 
 その沙綾ちゃんは、天塚未來ちゃんって女の子と、石動直斗くんと藤見颯大くんって男子2人の、4人で来ることが多いね。
 学生のグループ交際はいいねぇ、って言ったら、沙綾ちゃんから蛇蝎(だかつ)を見るような目で見られたよ……。
 そういう茶化しは禁止みたいだ……。 
 
 ここだけの話、沙綾ちゃんが髪をかき上げると、首筋にほくろがあって、それがセクシーなんだよねぇ。
 学生とは思えない色気だよ。
 沙綾ちゃんもかなりのボインだけど、未來ちゃんもかなりのものなんだよ。沙綾ちゃんが92で、未來ちゃんが88だろうね。
 え? 客の首筋や胸ばっかり見てるんじゃないって? マイワイフに言いつけるって?
 そ、それだけは勘弁してくれ!
 マイワイフは嫉妬深くはないけど、こんな話を耳にすると、自分に至らないところがあったんじゃないかと落ち込むタイプなんだよ……。正直、怒られた方がマシなぐらいなんだ……。

 コーヒーを1杯奢るから、頼むよ……。
 そろそろ、お暇するって? そうかい?
 重ねて頼むけど、さっきの件はマイワイフには内緒で頼むよ?

 『ツィベリアダ』は、いつでもお客様をお待ちしているよ!

Fragment;02『ツィベリアダの異常な日常』END